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「私たちには時間がない」 未解決の「戦後処理」早く救済法を

(2020年8月13日東京新聞に掲載)

 戦後75年となる終戦の日を前に、シベリア抑留や韓国・朝鮮元BC級戦犯など未解決の「戦後処理」問題の関係者が12日、国会内で初の共同記者会見と懇談会を開き、意見を交わした。高齢化した当事者らは「私たちにはもう時間がない」と、速やかに国会を開き救済法を制定するよう訴える。救済を阻む壁は何なのか。(大野孝志)

帰還者の平均年齢は97歳

 コロナ禍と酷暑の中、衆院第2議員会館で開かれた会見。シベリア抑留被害者の西倉勝さん(95)=相模原市南区=が「亡くなった方の4分の1、1万5000人の身元が特定されていません。遺骨も半分以上が収集されていません。政府、国を挙げて取り組む体制と戦略をつくっていただきたい」と声を張り上げた。

 戦後、旧ソ連やモンゴルに抑留された日本人は約60万人。うち6万人が栄養失調や病気で亡くなった。帰還した人の平均年齢は97歳となり、生存しているのは6000~8000人という。10年前に特別措置法が議員立法で制定され、6万9000人に1人平均28万円の給付金が支給された。しかし、国の責任で取り組むことが定められた、抑留の実態解明と遺骨収集は進まず、昨年は多数の遺骨取り違えも発覚した。同法では、朝鮮半島や台湾出身の抑留者は対象外とされている。西倉さんらは補償の拡充や遺骨収集、埋葬地の管理を進めるため、特措法改正と、1991年に旧ソ連との間で交わされた協定の見直しを求めている。

戦後処理

残された戦後処理問題の速やかな解決を訴えた共同記者会見=東京都千代田区の衆院第二議員会館で

 戦後に日本国籍を失い、補償を受けられない韓国・朝鮮元BC級戦犯の李鶴来さん(95)はビデオ録画で参加。捕虜監視員に徴用されたため戦犯として裁かれた経験を語り「日本政府は日本人の戦犯に恩給や慰謝料を給付しているのに、旧植民地出身者の戦犯には何もしようとしない」と訴えた。2008年に当時の民主党が特別給付金の支給法案を提出したが、廃案に。その後、超党派の議連が法案を作ったが、提出に至っていない。

 会見には「全国空襲被害者連絡協議会」も参加。東京や大阪の空襲被害者は国に賠償を求めて提訴したが、最高裁まで争って敗訴となり、補償は国会の裁量とされた。民間の空襲被害者は対象から外れたままで、超党派の議員連盟が救済法案をまとめたものの、与党の調整がつかず提出されていない。鹿児島県内の空襲で左脚を失った「大阪空襲訴訟を伝える会」の安野輝子さん(81)はリモートで会見に出席。「民間人も傷ついたのに、なぜこの国は排除を続けるのか。空襲被害者と雇用関係になかったとして責任を逃れている。もう我慢ならない」と憤った。

 沖縄戦や南洋戦の被害者への国家賠償を求めてきた「民間戦争被害の補償を実現する沖縄県民の会」の瑞慶山茂弁護士(77)も出席。「日本軍の反人道的な不法行為が裁判でたくさん認定された。国は立法で被害に向き合う義務がある」と強調した。

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