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NHKはなぜ西暦を使わないの 元号ばっかりだと「放送法違反」

(2020年10月28日東京新聞に掲載)

 昭和59年に生まれ、平成19年に就職、令和元年に結婚―。そんな自己紹介をされて、ぱっと分かるだろうか。元号の使用には煩わしさを感じる人も多い。市民グループが27日、元号だけで報道することがあるNHKに「番組では西暦も使うべきだ」と申し入れた。ちなみに、多くの新聞社は西暦を使っている。一方、行政機関は元号が主流。何が西暦使用を阻むのか。 (中沢佳子)

「元号は国民に浸透している」だけじゃ…

 「『元号は国民の間に浸透している』というのが、NHKの説明だった。科学的検証がない上、現場が恣意的に判断しかねない」

 東京・永田町の参院議員会館。「西暦表記を求める会」代表で、国際基督教大の稲正樹元教授(憲法)が振り返った。会は議員会館を訪れたNHKの担当者に西暦使用を申し入れた。記者は同席できなかった。

 稲さんが疑問に感じるのは、NHKニュース番組で、西暦を使わずに元号だけで伝えるケースがあるからだ。例えば、数十年間の出生数の推移を示すグラフ。昭和から令和まで三つの元号にまたがる数十年の時間軸に元号だけを使った。だが、他のニュースでは西暦だけのこともある。とりわけ海外ニュースでは西暦使用が多いという。

NHK側に番組で西暦を使用するよう求める稲正樹代表(右)=東京・永田町の参院議員会館で(西暦表記を求める会提供)

NHK側に番組で西暦を使用するよう求める稲正樹代表(右)=東京・永田町の参院議員会館で(西暦表記を求める会提供)

 稲さんは会合で「視聴者が直感的に分かりやすい西暦表記を」と求め、使い分けの基準をただした。NHK側は「個々のニュースや番組ごとに判断している」と答えるにとどまった。

 ちなみに新聞は西暦が中心。本紙や朝日、毎日、日経、読売がそうだ。独特なのは産経。国内ニュースは元号で、海外ニュースや寄稿文では西暦が目立つ。

行政では元号…でも法律の規定も義務もなし

 一方、行政の文書は元号表記が根強い。例えば昨年の改元時、法務省は出生届や婚姻届といった、戸籍法に基づく書類で、元号を使うよう通達。登記関係の書類は元号のみとしている。

 とはいえ、元号を使わなくてはいけない、という法律上の決まりはない。1979年に制定された元号法の条文は「元号は、政令で定める」「元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める」の二つだけだ。

 国も「義務ではない」という見解。87年4月、質問主意書に対する中曽根康弘首相(当時)の答弁書に「公的機関が元号を使用すべき憲法上の義務はない」「国民または公的機関に対し、一般に元号の使用を強制する法令は存在しない」とあるのだ。

 「公文書で元号を使うのはあくまで慣行だ」と、会事務局の石田嘉幸さんは語る。だから、改元を機に自治体レベルでは西暦使用を認める動きも出ている。その一つが栃木県。2018年4月、「分かりやすい文書の発信のため」として、元号使用を原則維持しつつ、文書によっては西暦も併記すると決めた。

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