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日本学術会議にデマ「中国の千人計画に協力」は根拠なし 自民党甘利氏も修正

(2020年10月14日東京新聞に掲載)

 菅義偉首相の任命拒否で注目される日本学術会議に、「反日組織ではないのか」と妙なうわさがネットで広がっている。「戦争を目的とする科学の研究は絶対に行わない」と声明を出している学術会議が、軍事研究との関係が指摘される中国のプロジェクト「千人計画」に協力しているというのだ。学術会議はもちろん全否定。うわさの元をたどると、自民党の甘利明・党税制調査会長のブログが浮上した。だが、ブログの表現はいつの間にか修正されていた。(古川雅和)

中国の「千人計画」とは

 中国の千人計画は、2008年から国家的なプロジェクトとして始まった人材招致事業だ。世界レベルの理工系の人材を破格の待遇で引き抜き、中国の経済発展に貢献させようと狙う。

 だが、米政府はこの事業の裏に高度な科学技術を盗み取る狙いがあるとみており、軍事転用の可能性も懸念している。すでに米連邦捜査局(FBI)は1000人計画を利用した経済スパイが全米に広がっていると指摘し、中国系科学者や米国人科学者を刑事訴追した。

 学術会議は、この千人計画との親しい関係をネット住民に疑われた。ツイッターでは「『防衛研究は認めないが、中国の軍事研究には参加する』という結構な反日組織」などと断罪され、菅首相の任命拒否に賛同する意見にもつながっている。

学術会議

日本学術会議

加藤官房長官も支援を否定

 本当のところはどうなのか。学術会議に聞くと、「千人計画を支援する学術事業は行っていない」(事務局担当者)との返答だった。会議が関係を築いているのは、学術アカデミーの「中国科学技術協会」。15年9月に交わした協力覚書では、協会との交流は、出版物の交換や学術活動の情報交換などとなっている。

 あくまでも「一般的な学術交流」(同)で、加藤勝信官房長官も12日午前の記者会見で「中国の千人計画を支援する学術交流事業を行っているとは承知していない」と否定している。

発端は自民・甘利氏のブログ?

 では、なぜ火のないところに煙が立ったのか。発端の一つとみられているのが、甘利氏の8月6日付のブログ「国会リポート第410号」だ。

Screenshot_2020-10-14 甘利明 Official Web(1)

甘利 明 Official Webより

 「日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の『外国人研究者ヘッドハンティングプラン』である『千人計画』には積極的に協力しています」「軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんでしょうか」。ブログのこんな記述に、ネット住民が飛びついたようだ。

いつの間にか修正

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