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持続化給付金の不正受給 「自首」で罪は軽くなる?弁護士の費用の相場は?

(2020年11月6日 東京新聞に掲載)

 「弁護士が同行します」「助けたい」。こんな言葉で自首を促す弁護士が増えている。呼び掛けている相手は持続化給付金の不正受給者。軽い気持ちで金を受け取り、逮捕されるのでは、とおびえている人たちだ。関係機関には今、相談が殺到している。確かに自首すれば罪は軽くなる可能性が高い。弁護士の支援は心強いだろう。気になるのはお値段だ。数十万円を掲げる事務所もある。自首支援は人助けか、ビジネスか。(大野孝志、中沢佳子)

ネット申請の手軽さが不正受給に

 「軽率ですね」。静岡県内で飲食店を経営する30代男性は語る。従業員の20代女性が、持続化給付金を虚偽申請したのだ。女性は本紙東海本社の取材には「ばかなことをした」と答えている。

 女性は知人男性から会員制交流サイト(SNS)や電話で「20万円もらえるから」と持ち掛けられた。給付された100万円のうち、知人男性と会計事務所の取り分として80万円が抜かれ、手にしたのは20万円。経営者男性は「地元で不正受給をあっせんしているヤツらがいる」と明かす。

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知人男性の指示で持続化給付金を申請した経緯を話す女性=浜松市内で

 持続化給付金は新型コロナで影響を受けた個人や中小の事業者が対象。売り上げが前年同月比で50%以上減った月があることなどが条件で、個人で最大100万円、中小なら同200万円が給付される。

 ネットで申請できる手軽さからか、4日現在、全国で369万件、約4兆8000億円が支給されている。その中に多くの不正受給があることが分かり、社会問題になっている。

相談の6割が20代 大学生も多い

 目立つのは、過去の売り上げを偽ったり、SNSなどで勧誘された受給資格のない人が偽って申請したりするケース。仲介者がうその書類を作らせ、高額な手数料を請求する例もある。素早く支給するため、審査を簡略にしたところを突かれた格好だ。

 国民生活センターによると詐欺が疑われる相談が、10月末までに約800件。7月から増え、20代だけで6割、大学生が3割弱を占める。警察庁によると、全国の警察にも約2000件の相談が寄せられている。

 不正受給は「出来心」で済まない。詐欺罪に当たる恐れがあり、逮捕される人も相次いでいる。さらに延滞金や加算金を加えて国に金を返す必要もある。中小企業庁には、不正の疑いがある例や申請ミスを含め751件、7億9000万円が返還された。さらに5300件近い申し出がある。

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持続化給付金の不正受給をした人に返金を呼び掛ける経産省のチラシ=消費者庁提供

「自首すれば早く立ち直れる」と弁護士

 梶山弘志経済産業相は記者会見で、同庁の調査前に返還を申し出れば、加算金を課さない考えを示した。担当者は「加算金を加えて返させた例は1件もないが、調査中の件はたくさんある。警察にも情報提供している」と明かす。

 これだけ多くの人が「犯罪に手を染めたのでは…」と不安にかられているということだ。そしてネット上に、「逮捕を避けるため、自首を支援する」という弁護士事務所のサイトが続々と登場している。

 その1人、上原幹男弁護士は8月中旬以降、40件ほどの相談を受けた。「自首すれば被害を早く回復でき、不正を犯した人も早く立ち直れる。若い人も多く、早く更生すれば人生をやり直せる」。依頼者との相談で自首するべき犯罪に当たると判断すれば、上申書の書き方を指導し、自首に同行することもある。

 もちろんタダではない。上原さんは「報酬額は明かせないが、ビジネスでやっているわけではない」と語る。通常の弁護活動よりは安く設定しているという。

気になる弁護士費用 「ぼったくり」も

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持続化給付金の不正受給 「自首」で罪は軽くなる?弁護士の費用の相場は?

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