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コロナ禍でガラガラの海には危険いっぱい!気を付けて

(2020年8月6日東京新聞に掲載)

 長く続いた梅雨がようやく明け、連日、真夏日が続いている。例年ならこの時期、各地の海岸は大勢の海水浴客でにぎわう。それが今年は、新型コロナウイルスの影響で海水浴場が開設されていない場所が多く、様相がかなり違う。どんな状況になっているのか、神奈川・湘南の海をルポするとともに、海を訪れる際にどういった注意が必要か考えた。(石井紀代美、大野孝志)

感染リスクは低いけど

 ギラギラと照り付ける太陽の下、海から心地よい風が吹いてくる。毎年夏に1日数万人が足を運ぶ片瀬西浜・鵠沼(くげぬま)海水浴場(神奈川県藤沢市)。5日に訪れると、例年なら砂浜を埋め尽くしている色とりどりのパラソルやテントが、まばらにあるだけ。沖で波を待っているサーファーも窮屈そうな様子がない。

海の家の土台だけが並び、注意を促す看板が設置されている砂浜=神奈川県藤沢市の片瀬西浜・鵠沼海水浴場で

海の家の土台だけが並び、注意を促す看板が設置されている砂浜=神奈川県藤沢市の片瀬西浜・鵠沼海水浴場で

 「人出はいつもの年の1、2割」。子どもと砂遊びをしていた地元の田中梨絵さん(42)は語る。「プールはどこも閉鎖。子どもを連れて水遊びをするには海しかない。なるべく人と近づかないようにします」

 サーフィンをしに来た横浜市の大学生窪田淳也さん(20)は、リフレッシュが目的。オンラインで授業を受けるかアルバイトかという単調な生活が続いていたといい、「風通しが良いし、黙々と波と戯れるだけ。飲みに行くより感染リスクは低いと思う」と述べる。

少ないライフセーバー

 海岸を歩くと目につくのは、「遊泳は自己責任です」などと書かれた看板。同海水浴場も開設中止になり、ライフセーバーの数は少なめ。看護師もいない。「ライフセーバーの主力である大学生が大学に来ず、十分に勧誘活動ができなかった。感染を避けようと、やりたがらない人もいた」(NPO法人「西浜サーフライフセービングクラブ」の石川修平副理事長)といった事情もあるようだ。

 石川さんによると、感染防止には細心の注意を払っている。人工呼吸はせず、心臓マッサージと自動体外式除細動器(AED)で心肺蘇生を行う。また、人と接触する時間をできる限り減らそうと、溺れている人を砂浜まで連れてきたら、心肺蘇生をする人にバトンタッチする。

少ない海の家…熱中症が心配

 昨年は約1.5キロの区間に31軒あった海の家もなく、土台だけが並ぶ。「子どもの頃からこの海水浴場を見てきて、海の家がない夏は初めて。異様な光景ですよ」。海の家でつくる「江の島海水浴場協同組合」の森井裕幸理事長(63)はつぶやく。「日陰がなく、飲み物を買う場所も限られる。看護師もいない。子どもたちの熱中症が心配」

 海の家は、近くの飲食店主らが経営しているケースが多い。コロナ禍で本業が不振な上、海の家の収入もゼロになる。建設・撤去費用400万~500万円はかからないとはいえ、「やはり痛いですよ」と森井さん。

 県は当初、海水浴場開設のガイドラインで、海の家に完全予約制を求めた。ただ、気軽にパッと入れるのが海の家。「どうやって予約を取るのか」「予約なしで来た人を断るのは難しい」との声があり、同組合は設置を断念した。森井さんは「万が一、クラスターでも発生したら今後に響く。来年に期待するしかない」と険しい表情を浮かべた。

海水浴場は例年の6割

 異例となった今夏の海。海上保安庁が全国1156カ所の海水浴場を調べると、7月16日時点で4割の469カ所が開設を見合わせていた(検討中を含む)。神奈川、千葉、茨城各県は開く所がゼロ。東京都は島を中心に57カ所中、44カ所が開く。

 同庁の小川佳将・安全対策担当係長は「海水浴客が『密』の状態になり、コロナの感染拡大を防ぐのが難しいのと、大学生を中心にライフセーバーの確保が困難といった理由で開設を見送る所が多いようだ。監視の目がない所に海水浴客が立ち入ることも予想される」と警戒する。

地方は独自ルールで対策も

 海が貴重な観光資源の静岡県では、56カ所のうち39カ所が開く。首都圏から多くの観光客が訪れる下田市は「下田ルール」をつくった。37.5度以上の熱がある人は遠慮してもらい、マスクと体温計の持参を求める。到着後はマスク着用のほか、手指の消毒や大声を出さないといった各店のルールを守るよう要請している。

伊豆急下田駅に設置されたサーモグラフィー=静岡県下田市で

伊豆急下田駅に設置されたサーモグラフィー=静岡県下田市で

 玄関口の伊豆急下田駅に設置したサーモグラフィーで自動的に体温を測り、市職員が常駐して健康相談に応じる。昨年は24万人が詰め掛けた白浜大浜海水浴場でも入り口で体温を測り、砂浜をロープで4メートル四方の枠に区切って密集を防ぐ。市の井上均・市民保健課長は「海水浴場を開かないと地元の経済が回らない。市民や観光客の安全と経済を両立させるのが下田ルールの目的」と語る。

 とはいえ、駐車場を見れば感染者の多い東京、神奈川、埼玉のナンバーが目立つという。藤原徹佳(てつよし)・市観光協会事務局長は「東京の人から『行っていいのか』という問い合わせが多い。ダメとは言わない。対策をしているので、来る人も気を付けてほしい」と話す。

 海水浴場を開設していてもいなくても、海は自由使用が原則。立ち入りを制限するのは難しい。ただ、海には特有の危険があり、それを知っておく必要がある。一つは「オフショア」と呼ばれる浜辺から沖に向かって吹く風。浮輪に乗った子どもが短時間で沖に流される。浜辺に寄せた波が一カ所に集まり、強い力で沖に戻る「離岸流」もある。遭遇したら無理に戻ろうとせず、浜辺と平行に泳いで抜け出せばいいという。

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