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NHK「ひろしまタイムライン」で浮かんだ日本人の戦争についての"認識不足"

(2020年10月19日東京新聞朝刊に掲載)

 原爆被害を伝えるNHK広島放送局のツイッター「1945ひろしまタイムライン」で、在日コリアン差別を助長すると批判された投稿は今も削除されていない。地元の在日コリアンや専門家らは問題の根底に、日本人の戦争加害への認識不足と、心の底にある無意識の植民地主義があると指摘する。(大野孝志)

HPに移して注釈を付けたが…

 「スタッフに無自覚の差別意識がなかったかどうか、検証するべきだ」
 多文化共生に取り組むNPO法人「共生フォーラムひろしま」の李周鎬(リチュホ)理事長(69)が憤る。今月4日、市民団体などの実行委員会が、投稿が浮き彫りにした民族差別について語り合うシンポジウムを広島市内で開いた。70人が集まり、オンラインで50人が参加した。

 投稿は「75年前に会員制交流サイト(SNS)があったら」との設定で、実在した中学1年の少年、主婦、新聞記者の計3人の日記や取材を基に、広島出身者や在住者らが当時の様子を想像してツイートした。このうち、終戦直後の8月20日の少年の投稿として書かれた「朝鮮人だ!」「乗客を窓から放り投げた」といった内容が差別をあおっていると批判され、削除を求める声が上がった。

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在日コリアンらが意見を交わしたシンポジウム=広島市で(シンポ実行委員会提供)

 だが、広島放送局は削除に応じていない。今月初めには、これまでのツイートを同局ホームページに移し、批判されていた投稿も注釈をつけて掲載。注釈では「当時の混乱した社会状況を伝える」とし、「韓国併合で日本統治が始まり、働き口を求めて日本本土に移住する人々やその家族が増えた」「軍需工場や炭鉱などに動員された人々もいた」と記している。

日本の侵略の歴史に言及せず「確信犯的」

 シンポジウムでは在日コリアンらが、この注釈も問題視した。3世の権鉉基(コンヒョンギ)さん(38)は「戦争の原因と、朝鮮の人が広島に来ざるを得なかった理由を明かし、大日本帝国や歴史修正主義と決別しなければならない」と語った。4世の尹李英愛(ユンリヨンエ)さん(36)は「コリアンがいたということしか言っておらず、日本の加害性に触れていない」と指摘した。

 韓国原爆被害者を救援する市民の会世話人の安錦珠(アンクンジュ)さん(57)は「2万~5万人の朝鮮半島出身者が被爆したと言われている。それだけの人がなぜ広島にいたのかを考えなければならない。特に戦争末期には、無理に連れてこられた人が多い」と語る。

 削除を求めているカナダの平和団体「ピースフィロソフィー・センター」の乗松聡子代表(55)は「日本の侵略の歴史、植民地支配に言及せず、非難されてもホームページに移した。確信犯的な2次加害だ」と指摘し、分析する。

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「ピースフィロソフィー・センター」の乗松聡子代表

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