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菅首相の誕生を後押しした二階氏とは何者なのか?幹事長の絶大な権限と力とは

(2020年9月16日東京新聞に掲載)

 自民党総裁選に圧勝した菅義偉氏(71)が16日、首相に就任する。石破茂氏(63)や岸田文雄氏(63)を推す声も少なくなかった中、「菅1強」の流れをつくったのが二階俊博幹事長(81)とされる。菅氏同様、秘書や地方議員を経験して苦労を重ねた一方、幹事長を長期間務め、党内外に存在感を示してきた。二階氏本人、幹事長ポストが持つ力とはどれほどのものなのか。(大平樹、石井紀代美)

二階氏なくして、菅総裁なし

 「二階さんが推さなければ菅総裁はなかった」。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう断言する。

 二階氏は安倍晋三首相が辞意を表明した8月28日、党員投票抜きで総裁選を行うことを事実上、決めた。これにより、地方を中心に党員人気が高かった石破氏の当選の目はほぼ消滅。29日に菅氏に出馬を促すとともに30日には二階派としての支援を表明すると、他の派閥も菅氏支持に雪崩を打った。

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新総裁に決まり、壇上で拍手に応える菅氏=14日、東京都内のホテルで

経歴は?

 和歌山県出身の二階氏は中央大法学部を卒業後、故遠藤三郎元建設相の秘書、同県議を経て、1983年に旧衆院和歌山2区から初当選。連続12回当選を果たしている。政治の師と仰ぐのは故田中角栄元首相。当時の田中派には故二階堂進氏や故後藤田正晴氏ら、議員や官僚の能力を把握して動かす力にたけたベテランが多かった。

 政治評論家の小林吉弥氏は「政策づくりや人心掌握術など、先輩を見て学んだことが今の二階さんたらしめている。親分肌で面倒見が良く、金のない議員を支援するといった田中氏の手法を受け継ぎ、党内の不満を幹事長としてうまく抑え込んでいる」と分析する。

親中派、運輸族

 田中氏同様、親中派としても知られ、2012年の尖閣諸島国有化や13年の安倍首相の靖国参拝で日中間の緊張が高まった際には、独自のパイプが関係修復に生きたとされる。連立与党を組む公明党のみならず野党にも広い人脈を持つ。

 一方で、一部業界との関係の深さに疑念を抱く声も出ている。二階氏は運輸相(当時)を2回務めるなど運輸族として知られ、1992年からは約五千五百の旅行会社などでつくる「全国旅行業協会」の会長を務める。自身が代表の党支部は2012年以降、業界関連の政治団体から計470万円の献金を受領。新型コロナウイルスの感染が収束せず、反対の声が多い中で始まった政府の観光支援策「Go To トラベル」との関係を指摘する向きもある。

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自民党の新役員に決まり、菅義偉新総裁(中央)と写真撮影に臨む(左から)二階俊博幹事長(右から2番目)

二階氏の権力維持のための総裁選?

 自民党一筋というわけでもない。幹事長などを歴任した小沢一郎氏らと共に1993年、新生党を結成。2003年に復党するまで自民党を離れていた。「出戻り組」にもかかわらず、その後も経済産業相や党総務会長など要職を歴任し、16年8月に幹事長に就任すると今月8日に在職日数が1498日となり、田中氏を上回って歴代最長を更新した。

 その手腕を評価する声は多くても、国民にとってプラスになるかどうかは別。鈴木氏は「徹底的に議論を戦わせるのが自民党の総裁選なのに、二階氏の動きによって最初から結果が見えてしまい、その伝統が守られなかった。二階氏が安倍一強時代に握った権力を維持するための総裁選になってしまった」と断じた。

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