見出し画像

新潟県燕市教育長はなぜ「コロナ禍解消に戦争」発言をしたのか

(2020年9月3日東京新聞に掲載)

 「コロナ禍を解消する方法は戦争」。定例教育委員会でこんな発言をした新潟県燕市の遠藤浩教育長(55)が2日、不適切だったとして辞任を申し出た。「誤解を招いた」と釈明しているが、地域の教育行政トップから「戦争」肯定ととられかねない言葉が発せられた事実は軽くない。専門家からは戦争体験の風化や、日本社会に潜在する戦争待望論の影響を指摘する声も上がる。 (石井紀代美)

教育長自身が執筆した文書に…

 「不快な思いと大きな不安を与えてしまったこと、深くおわび申し上げます」。遠藤氏は2日の記者会見で深々と頭を下げた。

遠藤浩

新潟県燕市の遠藤浩教育長(同市ホームページより)

 謝罪の原因は、遠藤氏自身が執筆し、8月21日の定例教育委員会で委員らに配られた文書「教育長報告」の記述にある。

 報告は、コロナ禍でいろいろなものをあきらめざるを得なかった子どもたちの心理状況に言及。太平洋戦争で戦没した学徒兵の遺稿集「きけわだつみのこえ」を引用しながら教育の重要性などを説いた後、問題の記述が突然始まる。「今のコロナ禍を短時間で解消する方法は、どこかで大きな戦争が発生することではないだろうか」「中国と米国が自国以外の地域で戦争を始めればお金は動く

「人間の愚かさを憂いて」というが

 「罪のない人間の命との交換」と認めながらも、「紛争とか戦争が始まれば武器という商品で経済は回復するだろう」と持論を展開。「他に何かいい策があるのだろうか。愚かな人間であり続ける限り、注目の矛先を変えることでしか事態を乗り越えられないのかもしれない」と続く。

戦争発言

燕市ホームページに掲載された遠藤教育長名のおわび文書。「不適切な表現があった」と謝罪している

 この記述は同月27日に市ホームページに公開された議事録にも掲載。市教委によれば「決してそうならないように」との願いを込めた言葉で、実際の委員会では「愚かな人間ばかりでないことを願う」と付け加えながら発言したという。批判を受け、遠藤氏は「社会全体に閉塞感のようなものがあり、打開する方法として、戦争や紛争を始めてしまうのではないかという人間の愚かさを憂いた」とコメントしている。

教育界で平和意識が緩んでいないか

 だが、「燕九条の会」の黒田玲代表(66)は「誤解と言うが、どう読み解いても戦争待望論としか読めない。公文書である議事録にきちんと書かれているわけで、後から『言葉が足りませんでした』と言われても困る」と憤りを隠さない。

この続きをみるには

この続き: 561文字

新潟県燕市教育長はなぜ「コロナ禍解消に戦争」発言をしたのか

東京新聞 特報Web

100円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

ありがとうございます。いただいたサポートはさらに読み応えのある記事にしてお返しします!

ありがとうございます! 励みになります!
7
東京新聞で半世紀以上続く名物ページ「こちら特報部」の記事を配信します。モットーは「ニュースの追跡」「話題の発掘」。無料公開の公式サイト「東京新聞 TOKYO Web」https://www.tokyo-np.co.jp では読めない記事がここにはあります。

こちらでもピックアップされています

新型コロナウイルス
新型コロナウイルス
  • 35本

新型コロナウイルスに関連する問題を「こちら特報部」が多角的に掘り下げます。