新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として 厚生労働省 首相官邸 のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

コロナ禍で問題山積みなのに政府与党が国会召集に後ろ向きな理由

(2020年8月4日東京新聞に掲載)

 コロナ禍が収まらない中、国会は6月17日に閉会したままだ。諸外国中最低水準のPCR検査数、補償なき自粛要請の実効性のなさなど問題は山積しており、国会で議論して必要な法改正を行うべきだが、政府与党は一貫して後ろ向き。東京都医師会は「ウイルスに夏休みはない」(尾崎治夫会長)と開会を訴え、野党から憲法53条に基づく臨時国会開会要求も出ているのに、いったいなぜなのか。「開かない理由」について考えてみた。 (木原育子、榊原崇仁)

理由その1:予備費が10兆円ある

 政府与党が唱える「開かない理由」はいろいろあるが、その1は、6月12日に成立した第2次補正予算に盛り込まれた予備費10兆円の存在だ。自民党の世耕弘成参院幹事長も7月28日の記者会見で、予備費に触れて「当面、臨時国会を急いで開かなければならない理由はない」と強調した。お金は確保してあるので、国会審議はいらないという論理だ。

 通常、予備費は毎年度、当初予算の中で自然災害対策などとして3500億円ほど計上されてきた。前年度と本年度は災害の増加をふまえ5000億円。ただし、「10兆円」はこの予備費とは異なる。2009年度のリーマン・ショック対応(1兆円)や11年度の東日本大震災対応(8000億円)と同じ位置付けの特大危機対応の予備費だ。

 元財務官僚の田中秀明・明治大教授(財政学)は、「東日本大震災の時も、予備費が計上され、復興費の名目でさまざまな事業が盛り込まれた。理屈をこねれば何でも対象になる。今回も財務官僚が『NO』と言えなかったのだろう」と推測。「通常の予備費は災害対策費で、ある程度使途を予測できるが、今回は別。何でもかんでもコロナ対策費に盛り込んで、国会審議を経ないまま使える」と、政府与党にとっての使い勝手の良さを指摘する。

理由その2:国会対応で官僚のコロナ対策業務ができなくなる

 理由その2は、新型コロナの感染拡大防止や経済の回復が行政の最優先課題であり、「国会議論の必要性と行政の負担を併せて検討するべきだ」(山口那津男公明党代表)という論理。野党が国会質問することで、各省庁の官僚が答弁書の作成や大臣会見などに追われ、本来の対策業務に支障をきたす、という趣旨だ。

 元厚生労働官僚の中野雅至・神戸学院大教授(行政学)は、「国会答弁の担当係長だった時は、午前3時ぐらいまでかかって答弁書を仕上げ、それはそれは不毛な…過労死寸前まで働いた」と国会開会中の大変さをこう語る。「官僚にとって、国会が開かれることは最も重く、国会答弁は1番大切だと、たたき込まれて育てられる」と中野氏。「その結果、国会対応に右往左往して、確かに本来の対策業務はできなくなる可能性はあるだろう」

理由その3:国会で審議すべき議案がない

 理由その3は、「新型コロナ特措法の改正には時間がかかり、問題点の検証は感染拡大収束後」(菅義偉官房長官)、「法案をどうするか聞いていない。何を審議するかが大事だ」(自民党の森山裕国対委員長)などと、現時点で政府は国会を開き、新型コロナ特措法などを改正する必要はないと考えていることだ。

 法改正のために臨時国会を早期に開くということは、すなわち現状の新型コロナ対策に問題があることを認めること。だから開かない、という論理だ。通常国会閉会後に週1回、衆参で閉会中審査をしており、それで足りるというわけだ。

「開かない理由」は理由になってない

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「国会を開けば、野党に問題を追及されて追い込まれてしまう。『劣勢の時こそ国会は閉じる』が永田町の論理。昔からずっとそうだった」と語る。

 このように政府与党は「開かない理由」をつらつら重ねるのだが、うのみにはできない。そもそも理由にもなっていないからだ。

この続きをみるには

この続き: 1,772文字 / 画像1枚

コロナ禍で問題山積みなのに政府与党が国会召集に後ろ向きな理由

東京新聞 特報Web

100円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

ありがとうございます。いただいたサポートはさらに読み応えのある記事にしてお返しします!

ありがとうございます! 励みになります!
12
東京新聞で半世紀以上続く名物ページ「こちら特報部」の記事を配信します。モットーは「ニュースの追跡」「話題の発掘」。無料公開の公式サイト「東京新聞 TOKYO Web」https://www.tokyo-np.co.jp では読めない記事がここにはあります。

こちらでもピックアップされています

安倍政権の7年8カ月
安倍政権の7年8カ月
  • 24本

安倍政権の7年8カ月を「こちら特報部」の記事で振り返ります。(今後、過去記事も追加予定です)