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大阪府知事のうがい薬会見「なぜ41件で発表したのか」

(2020年8月6日東京新聞に掲載)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、大阪府の吉村洋文知事と松井一郎大阪市長が、うがい薬を示してうがいを呼び掛けた記者会見。専門家らが科学的根拠が薄いと指摘しているほか、そもそも混乱を招いた発表そのものが批判されている。政治家の情報発信のあり方として、問題はなかったのか。(中沢佳子)

うがい薬が店頭から消える

 「うがい薬で、コロナに打ち勝てるのではないか」

 4日の記者会見で、吉村知事は各社のうがい薬を前に、府立病院機構「大阪はびきの医療センター」の研究成果を説明した。ポビドンヨード成分を含むうがい薬を使った患者がPCR検査で陽性になる割合が、使わなかった患者より低かったという内容だ。

 調査数はまだ41人。出席した松山晃文次世代創薬創生センター長は「これで患者を治せるわけではない」と付け加えた。吉村知事も買い占めをしないように呼び掛けたが、何といっても連日のコロナ対応で絶大な知名度を誇る知事の会見。うがい薬を買う人が続出し、店頭から次々に姿を消した。

売り切れで商品が無くなったうがい薬コーナー=浜松市東区の杏林堂薬局ピーワンプラザ天王店で

売り切れで商品が無くなったうがい薬コーナー=浜松市内の薬局で

 ネット上では、「ウイルスが体内から消えるわけではない」「PCR検査や抗原検査の前にヨードでうがいされると、偽陰性になる恐れがある」といった批判が相次いでいる。

医療の発表は慎重になるべき

 医療ジャーナリストの油井香代子氏は「ウイルスによる感染症の予防にうがいが一定の効果を示すのは通説。ただ、口の中をきれいにすればウイルスの量が減るからで、うがい薬を使わなくても同様の効果がある」とし、会見自体に違和感があったと話す。

 「医療の研究結果は、普通は1000~2000件の事例を集めて分析した上で発表する。軽々に言えないのに、41件程度でなぜ発表したのか」

 企業の危機管理広報会社「エイレックス」の江良俊郎社長も「まずい会見。企業が商品、特に医薬品や食品について発表する場合、効果効能は慎重に調べて口にする。まして行政なら一層慎重になる。こんな会見は混乱を招く」と語る。

火消しに必死「誤解。予防薬でも治療薬でもない」

 吉村知事は5日の記者会見で「一部誤解がある。うがい薬は予防薬でも治療薬でもない」と火消しに努めたが、コロナ禍で政治家が発する一言一言に注目が集まっているのは明白だ。4月に米国のトランプ大統領が「消毒液を注射で体内に入れたらどうか」と発言し、批判を浴びたのは記憶に新しい。

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