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オンブズマン活動で「辞めろ」 市議に辞職勧告で波紋 愛知・弥富市

(2020年10月22日東京新聞に掲載)

 愛知県弥富市の市議会が議員に辞職を勧告し、波紋が広がっている。理由は「オンブズマン活動をしたから」。市費などの使い方をただす活動が議員としてふさわしくないというのだ。勧告に法的な拘束力はないものの、議員の名誉を損ね、活動への圧力ともなる。各地の議員やオンブズマンから批判が出ている。(佐藤直子)

初当選前から地元で活動

 「嫌がらせだ。住民訴訟や市民の監査請求の萎縮にならないよう闘う」。辞職を勧告された無所属の加藤明由市議(67)は21日、「こちら特報部」の取材にこう憤った。定例会最終日の9月23日、保守系会派の議員が辞職勧告決議案を提出し、会派の7人が賛成した。一方、公明や共産、無所属の7人が反対。可否同数だったため、提出した会派に所属する大原功議長の裁決で可決となった。

 勧告には伏線があると加藤氏は言う。

 加藤氏は今年2月の初当選前から地元でオンブズマン活動をしてきた。今年7月に敗訴したものの、市の新庁舎建設を巡る移転補償や土地購入費が高すぎるとして、仲間と3人で市に損害賠償を求める住民訴訟を起こしていた。

 6月定例会では、議長が市有地を不法に占拠したとして訴訟になった件を巡り、議長の不信任案を提出。賛成多数で可決された。一連の経緯から、議長らは加藤氏をうとましく思っていたふしがあるというのだ。

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市議が辞職勧告された愛知県弥富市の市役所=弥富市前ケ須町で

 一方、勧告は「オンブズマン活動は、行政の外側から行政を監視しこれを是正するものである」「地方議会は地方行政の一翼を担っている側面があり、地方議会の議員がオンブズマン活動を行うことは本来の趣旨に合致しない」と加藤氏を批判している。監視される側の議員になってオンブズマン活動を行うのはいかがなものかと迫り、辞職を求める内容だ。

識者「任期中は活動を切り分けては」

 行政の監視に力を入れてきた地方議員は、勧告をどう感じるだろうか。

 「あきれて笑うしかないです」と語るのは、森友学園の国有地売却問題を追及してきた大阪府豊中市の木村真市議。木村氏は「税金の無駄遣いに目を光らせるオンブズマンと、議員の仕事は重なりあう部分が大いにある。そもそも勧告の『議会が行政の一翼を担う』という認識がおかしい。議会は行政チェックのため独立していなければならないはずだ」と批判する。

 東京都渋谷区の堀切稔仁区議も「議員1期目の時によくある嫌がらせだ。暴かれたくない事情がある側はプレッシャーをかけてくる。屈してはいけない」と述べ、加藤氏にエールを送る。「こんな時こそ黙ってはいけない。市民に問題を訴えて支持を広げてほしい」

 識者はどう考えるだろうか。自身もオンブズマン活動をしている立命館大の森裕之教授(地方自治論)は、議員とオンブズマン活動を並行することには疑問を持つ。「オンブズマンの監視対象には議会も入っている。チェックされる側がオンブズマンであるというのはよい形ではない」

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