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【無料記事】SNSでの誹謗中傷をなくすために社会が取り組むべきことは

 学校の友達や趣味の仲間とLINEやTwitterなどの会員制交流サイト(SNS)でやりとりする中で、嫌な言葉を投げ付けられ、悲しい気持ちになったことはありませんか。スマートフォンの普及などにより、SNS上での誹謗(ひぼう)中傷の被害は小学生や中学生にも広がっています。
 SNSで何かトラブルが起きてしまった時、親や学校の先生、友達にはなかなか相談しにくいこともあるかもしれませんが、頼りになる人に悩みを打ち明けることができたら、問題の解決に向けて一歩、前に進むことができるかもしれません。この記事の最後で相談窓口の連絡先を紹介しています。
 東京新聞特報Webの記事は通常、1本100円で販売していますが、悩みを抱えている子どもたちを少しでも支えられたらとの思いから、今回は特別に無料で全文を公開します。
※無料公開記事への思いはこちら

(2020年10月25日東京新聞に掲載)

 会員制交流サイト(SNS)で誹謗(ひぼう)中傷に悩む人が増えている。スマートフォンなどの普及により、小中学生が被害に遭うことも少なくない。ネットの悪質な投稿を削除する取り組みは進みつつあるが、専門家からは相談体制やネット教育の充実を求める声が上がる。 (中山岳)

相談の半数以上が小中学生から

 「SNSの誹謗中傷は毎日のように起きている。10代を中心に多くの人が親や友人にも相談できずに悩んでおり、社会課題として考える必要がある」

 心理カウンセラーでつくる一般社団法人「全国心理業連合会」が21日に開いたオンライン報告会。浮世満理子・代表理事はこう訴えた。会は7月下旬~8月中旬にLINE(ライン)で相談を受け付けた。LINEやツイッターなどで誹謗中傷を受けたとする被害が98件寄せられ、半数以上は小学生や中学生からだった。

心理カウンセラーたちがSNSの誹謗(ひぼう)中傷の相談例を話し合ったオンライン報告会(一部画像処理)

心理カウンセラーたちがSNSの誹謗(ひぼう)中傷の相談例を話し合ったオンライン報告会(一部画像処理)

 ある中学生は、好きなユーチューバーをSNSで非難する他人の書き込みを見つけてたしなめたところ、逆に「おまえが悪い」などと中傷された。別の中学生は、LINEで複数が参加するグループ内のトラブルを相談。友人の表現がきついことを指摘したら、標的にされ責められるようになった。

文字だけではうまく表現できず

 ささいなトラブルのように見えても、SNSでののしり合いになったり批判を集中して受けたりすれば精神的なダメージは大きい。相談のうち1割ほどは「死んだほうがまし」「消えてしまいたい」といった切実な声だった。

 相談を受けた会の高溝恵子事務局長は「10代だとSNSの文字だけのやりとりでうまく表現できず、きつい言葉になってトラブルが生じるケースもある。被害者が加害者に転じることもあり、コミュニケーションの取り方を含めて助言することが重要だ」と話す。

 会は今月、相談結果を総務省に報告した。浮世さんは「国が心のケアを含めた相談体制を整える時期にきている」と語る。

掲示板の書き込み削除に高いハードル

 インターネット企業も、誹謗中傷を減らす対策に乗り出している。ヤフーなどでつくる一般社団法人「セーファーインターネット協会」は6月末、ホームページにSNSやネット掲示板であった中傷の相談窓口を設置した。

 被害者の個人情報を特定するような書き込みの相談があれば、協会がネット掲示板の運営事業者などに削除要請を出している。ただ、その数は8月末までに90件で、実際に削除に至ったのは、うち34件にとどまる。

 削除が思うように増えていかないのは協会の要請に強制力がなく、名誉毀損(きそん)にあたる違法な書き込みでない限り、運営事業者が削除に積極的でないからだ。しかも、要請から削除されるまでには長期間がかかることもある。

「SNSのルール、学校で伝えて」

 協会の危機感は強い。広報担当者は「実際の被害数はかなり多いとみられ、相談はまだほんの一部。窓口の認知度不足もあり、さらに取り組みを周知したい」と話す。

 SNSの普及に伴い、教育の重要性も高まっている。NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表は「子どもや若者を中心に、SNSのやりとりはリアルな世界の交流と同じかそれ以上に重要になってきている。相手を傷つけず、自分が傷ついた時の対処法を知ることが必要だ。そのためにSNSを使いこなす技術やルールを学校教育などで伝えていくべきだ」と唱える。

 全国心理業連合会は、SNSの誹謗中傷を含めた悩み事の相談を受け付けている。月曜~金曜の午前10時~午後5時に=電03(3400)3737、またはメールinfo@mhea.or.jp=へ。

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