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コロナ集団感染、同意なしで「店名公表」 制裁的手法に政府内にも疑問の声

 政府は、飲食店などで新型コロナのクラスター(感染者集団)が発生し、感染経路が不明な場合は都道府県が店側の同意なしで店名を公表できるとする通知文を出した。感染防止対策が不十分だと考えられる場合、それも公表するという。店側には大打撃で見せしめ的な要素が強い上、検査を避ける動きにつながりかねない。クラスター対策特化を「日本モデル」(安倍晋三首相)と誇ってきた結果、おかしな方向に進んでいないか。(石井紀代美、榊原崇仁)

政府は「検査を促す目的」

 「これまでも法令上、相手の同意なしで店名公表することはできたが、『そこまでやりたくはない』というのが都道府県側の心情。しかし、やらないといけない時もある。通知にはそんな意味もあります」


 内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室の八重樫嶺央氏はこう語る。通知とは、政府が28日、飲食店でクラスターが発生した場合、都道府県知事が店名を公表するよう促した文書のことだ。


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飲食店などが並ぶ歌舞伎町の繁華街=20日、東京都新宿区で


 八重樫氏によると、ホストクラブや居酒屋などの飲食店を中心に、クラスターが増えつつある。感染拡大防止には感染者が店で接触した人も感染していないか、検査で確かめる必要がある。だが、不特定多数の客が入れ代わり立ち代わり出入りする店では、接触者がどこの誰なのか分からず、確かめようもない。「店名公表は、そこに行った人が自ら進んで検査を受けに行くよう促すことが目的」

公表ルールは曖昧


 ただ、今回は店名のみならず、ガイドラインに基づく感染防止対策が不十分な店は、それも含めて公表する方針だ。根拠は、感染症法第16条。予防や治療に必要な情報について、インターネットなどで「積極的に公表しなければならない」と知事らに求めている。「守っていないことも公表することで、守ってほしいというこちらの思いもあります」と八重樫氏は言う。


 では、対策の「不十分さ」はどう判断するのか。現状では、その店自身が「ガイドラインを守っています」と自己申告し、都が発行するシールを店頭に張るケース、業界団体がチェックしてお墨付きを与えるケースがあり、それを判断基準にするという。今後、第三者機関が助言・指導する仕組みを厚生労働省が整えるというが、要するに、かなり曖昧だ。

単なる「つるし上げ」


 だが、飲食店にとって、店名公表は重大事だ。新宿・歌舞伎町でホストクラブや飲食店を経営する男性は「普通の居酒屋だと、しゃれにならないほどのダメージを受ける。『そんな店は不衛生で、食中毒とかも出そうだ』との想像が膨らみ、客がいっそう来なくなる。店は壊滅するでしょう」と断言する。


 こうした強硬策に対し、「単なるつるし上げ」との批判も広がる。元北海道小樽市保健所長で医学博士の外岡立人氏は「やり方が制裁的で、まるっきり脅し。大事なのは、店側と協力して、何が原因なのかを突き止め、それを除去することだが、逆に反感を持たれるだろう」と指摘する。


 政府内にも疑問の声はあるようだ。ある政府関係者は「こちら特報部」の取材に対し「店名公表は飲食店には致命的。私も最初はつるし上げと感じた」と複雑な心境を吐露する。

 店名公表が前提だと、陽性者への行動履歴の聞き取りに支障を来す可能性がある。プライバシーの観点から、立ち寄った店を言わなかったり、別の店名を伝えたりすることも考えられるとしながらも「新たなクラスターが発生し、ますます感染が拡大してしまう。そこはもう、みなさんの理性と良心に訴えるしかない」

「初期消火」の時期なのか…

 店名など感染者の細かい行動を公表してまで注意喚起をするというのは、はしかなどの感染症対策でよく見られる。

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コロナ集団感染、同意なしで「店名公表」 制裁的手法に政府内にも疑問の声

東京新聞 特報Web

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