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オイルショック、リーマン・ショック…経済史の教訓からコロナ雇用破壊の実相を探る

(2020年7月2日東京新聞に掲載)

 コロナ禍により、オイルショック後の1974年に次ぐ下げ幅となった5月の有効求人倍率。確かにこの落ち込み方は、高度経済成長が終わりを告げた46年前を思い起こさせる。2008年のリーマン・ショック後と比べてみると、正社員が守られ、非正規労働者がよりダメージを受けている実態が鮮明になる。経済史の教訓から、コロナ雇用破壊の実相を探った。 (安藤恭子、榊原崇仁)

オイルショックの影響、おさらいしてみると

 「『狂乱物価』と称された物価の上昇が、家計を苦しめた」

 6月30日に発表された5月の有効求人倍率で引き合いに出されたオイルショックの影響について、「暮らしと経済研究室」を主宰する山家(やんべ)悠紀夫氏はこう解説する。求職者1人に何人分の求人があるかを示す有効求人倍率(季節調整値)は1・20倍で、前月比0・12ポイントの下げ幅は1974年1月の0・2ポイント低下に次ぐ大きさだ。

 オイルショックは1970年代に起きた2回の石油危機。第1次ショックはエジプトとシリアがイスラエルを攻撃した73年10月の第4次中東戦争が口火となった。イスラエルの反攻を受け、アラブの産油国は西側諸国に向けて石油供給制限に踏み切り、石油の公示価格は危機前と比べ、最高4倍に引き上げられた。

 田中角栄内閣が唱えた「日本列島改造論」による地価高騰も背景に、景気が悪い中で物価が上昇するスタグフレーションが深刻化。政府は物価を抑えるため、公共事業抑制などの政策をとり、企業の生産活動は鈍化した。金融市場だけでなく実体経済が低迷した結果、74年の国民総生産(GNP)は戦後初のマイナス成長となり、高度経済成長は終わりを告げた。

1970年代より今の方が…

 国民生活では、灯油やガソリンの買いだめが加速。モノ不足への懸念から石油価格と直接関係のないトイレットペーパーや砂糖まで店から姿を消した。コロナ禍で一時的にせよ、世界的に紙製品やマスクの買い占めが起きた現象に重なるように見える。

トイレットペーパーを買い求める人ら=1973年11月、名古屋市で

トイレットペーパーを買い求める人ら=1973年11月、名古屋市で

 ただ、仕事の供給量を示す有効求人倍率が大きく落ち込んだのに、失業率は1%台にとどまっていた。山家氏は「正社員が多い時代で、雇用は比較的維持された。時を経て従業員の非正規化が進み、このコロナ禍は雇用悪化に即影響し、市民生活をむしばんでいるように見える」と話す。

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