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コロナで広がる不安に、安倍晋三首相が発揮すべきリーダーシップと語る言葉とは?

(2020年8月28日東京新聞に掲載)

 安倍晋三首相が28日、2カ月余ぶりに本格的な記者会見に臨む。新型コロナウイルス対策について述べ、体調悪化説に関しても説明するとみられる。安倍首相はコロナ禍が深刻化する中でも会見を開く回数が少なく、一国のリーダーとして資質を問われかねない状況にもなっていた。国民の安心につながるよう、何をどう語るべきなのだろうか。各方面の関係者に聞いた。(榊原崇仁、中山岳)

観光打撃、新幹線も大幅減

 「ホテルの稼働率は軒並み5割以下。それでも仕事が回っていくような妙案を示してほしい」。金沢市観光協会の八田誠専務理事はこう語る。

 観光支援事業「Go To トラベル」の開始から1カ月余りたった26日、菅義偉官房長官は記者会見で「延べ420万人が利用した」とし、一定の成果があったと強調した。ただ、JR西日本によると、金沢と東京をつなぐ北陸新幹線のお盆期間(7~17日)の利用状況は前年同期比79%減。「Go To」前とほぼ同水準だ。八田氏は「新幹線があの状況だと、正直厳しい」と話す。

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「GO TO トラベル」が始まり、JR東京駅から新幹線で各地へ向かう観光客ら

働き手にも厳しさ

 労働者を支える施策の拡充を求めるのは、個人加盟の労働組合「総合サポートユニオン」(東京都世田谷区)の青木耕太郎共同代表。「会社都合で休んだのに、その分の給料が出ないという相談が目立つ。上司に訴えたら辞める方向に誘導された例もあった」

 経済は悪化の一途をたどり、雇用情勢は厳しさを増している。4~6月期の国内総生産(GDP)の速報値は、年率換算で27・8%減。解雇・雇い止めも21日現在、4万8206人(見込みを含む)に上り、うち4割強を非正規労働者が占める。青木氏は、コロナ禍に伴って従業員に休業手当を支払った企業に政府が「雇用調整助成金」を支給する制度を永続化してほしいと訴える。

1人10万円も「ほとんど手元になく」

 深刻なのは、ひとり親家庭を取り巻く環境も同じ。支援を続けているNPO法人「リトルワンズ」(東京都杉並区)の小山訓久代表理事は「学校休校の影響で食費や光熱費がかさんだ。職を失い、次の仕事が見つからない人も少なくない」と明かす。

 「1人10万円」の特別定額給付金も「ほとんど手元に残っていないのが現状」といい、「食事を1日1食にしたり、麺類を伸びさせて量を増やしたりと、親は工夫しながらしのいできた。それも限界に来ている。命が脅かされないよう、継続的な支援を打ち出すべきだ」

 外出自粛による影響も長期化している。飲食店に客が戻らず、食材を卸す側も苦境に立たされている。

 コロナ禍前、名古屋市を中心に約30軒のレストランに野菜を卸していた愛知県春日井市の農業横島龍磨さん(50)は「4月から5月は相手が軒並み休業になり、この間に収穫した春野菜は廃棄した。かなりの打撃だった」と振り返る。6月以降は長梅雨の影響で収量が少なくなった上、取引先が営業を再開しても店内に入れる客の数を制限。その結果、出荷量も減った。

 横島氏は「農家も飲食店も、こんな状況が続くと持たない。食文化が廃れるし、自殺者が出るかもしれない。それでいいのか、どうしてくれるのか、首相に聞きたい」と強調した。

最近の会見「ダメなスピーチの典型」

 安倍首相は、記者団の短時間のぶら下がり取材に応じたり、広島、長崎の両被爆地で開かれた平和式典後に質問を受けたりしてはいるものの、まとまった時間を取って記者会見するのは6月18日以来となる。

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緊急事態宣言の発令後、記者会見する安倍首相=4月7日、首相官邸で

 回数が少ないだけでなく、発信力そのものにも疑問を唱える声がある。四月七日の緊急事態宣言発令後の会見を分析した橋爪大三郎・東京工業大名誉教授(社会学)は「要領を得ない駄目なスピーチの典型。無駄が多く、半分に削れる」と指摘する。

 橋爪氏によると、5600字の演説には「しかし」「けれども」といった留保が目立つ。「現状では、まだ全国的かつ急速なまん延には至っていないとしても」などの言い訳や、「かつての日常は失われました」といった親しみやすさを出そうとして空回りしているフレーズも散見される。「自分が何を話しているか分かっていない。原稿作成をスピーチライターに任せ、自ら書く習慣がないのではないか」

コピペ疑惑、会見打ち切り

 首相のおかしな情報発信はまだある。広島と長崎の平和式典のあいさつは文言や構成が酷似し、「コピペ」との批判が起きた。新型コロナの感染が拡大しつつあった二月二十九日の会見で表明した全国一斉休校は、専門家会議に諮っておらず各地で混乱を招いた。質問が残っているのに会見を打ち切るといった対応も目立つ。

 政治ジャーナリストの藤本順一氏は「首相には、自らの言葉で難局を打開する力が足りないことがあらわになった。以前なら高い内閣支持率を背景にワンパターンの演説で乗り切れたのが、コロナ禍が長引く中で不支持率が支持率を逆転し、それも難しくなっている」と語る。

 藤本氏は、最近は与党内からも公然と首相への異論や批判が出るようになったとし「首相の自民党総裁任期が来年九月に迫り、党内の求心力が落ちていることも影響しているのではないか」と分析する。

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