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氾濫繰り返す球磨川 相次ぐ豪雨被害への対策は待ったなし

(2020年7月8日東京新聞に掲載)

 熊本県南部を襲った豪雨で流域に甚大な被害をもたらした球磨(くま)川は、過去に何度も氾濫し「暴れ川」と呼ばれていた。従来、危険性が認識されながら被害を防げず、改めて治水の難しさを浮き彫りにした。ここ数年、かつて経験したことがないような豪雨が各地で相次いでおり、対策は待ったなしの課題。ただ、ダムや堤防は完成までに時間がかかる上、効果は限定的とされる。どういった方法を考えていくべきなのか。 (石井紀代美、安藤恭子)

標高差大きい〝日本3大急流〟

 「堤防決壊や越水の原因はこれから詳しく分析していくが、ものすごい雨が降った」。12カ所から水があふれた球磨川を管理する国土交通省九州地方整備局八代河川国道事務所の森康成副所長はそう振り返る。

球磨川が氾濫し、多くの民家などが被害を受けた熊本県人吉市=4日午後1時ごろ(本社ヘリから、撮影・帖地洸平)

球磨川が氾濫し、多くの民家などが被害を受けた熊本県人吉市=4日午後1時ごろ

 球磨川の流域一帯で4日早朝から、記録的な豪雨が降った。熊本地方気象台の新地航・防災気象官は「九州の真ん中に背の高い山が連なる九州山地があり、そこに南から吹く暖かい湿った風がぶつかって雨雲を形成しやすい。もともと降雨量が多い地域ではあっても、今回は傘が全く役に立たないほどだった」と話す。

 球磨川は多くの支流と合流しながら山間部を下り、今回大きな被害を出した人吉盆地を経由。川幅の狭い場所を縫うように流れ、八代海に注ぐ。水源から河口までの標高差が大きいため流れが急で、山形県を流れる最上川、静岡県などを流れる富士川とともに日本3大急流の1つとされる。

かつて3年連続で氾濫…でも進まなかったダム計画

 盆地は、周囲の山などに降った雨が集まる。球磨川は主要支流の川辺川と人吉盆地で合流し、水量が増す。九州大の島谷幸宏教授(河川工学)は「ここで一気に川幅が狭くなり、急激に水位が高くなって氾濫しやすい」と解説する。

 球磨川は「暴れ川」の異名通り、1963年から3年連続で氾濫。最も被害が大きかった65年は人吉市や八代市で堤防が決壊し、約1万2800戸が浸水した。そこで対策として浮上したのが、川辺川に九州最大級の川辺川ダムを建設する計画だった。ただ、住民の反対により事業は進まず、2008年に蒲島郁夫知事が「ダムに頼らない治水」を表明。09年、当時の民主党政権が計画を撤回した。

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