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東京電力福島第一原発 処理済み汚染水放出がはらむ根本的な問題とは

(2020年7月5日東京新聞に掲載)

 東京電力福島第一原発でたまり続ける放射性物質トリチウムを含む処理した汚染水の放出問題。「トリチウム水」などとトリチウム以外は含まないかのような呼び方がされているが、実は他にも放射性物質が含まれる。経済産業省や東電は最終的には濃度を薄めて放出するため問題ないと繰り返すばかり。地元などから強い反対の声が出る中でも意見募集など手続きは進むが、放出には根本的な問題が残されている。 (片山夏子)

市民の意見を聞くのに説明は不十分

 「放出について市民の意見を聞くなら、先にきちんと説明をすべきではないか」。5月、経産省、原子力規制委員会、東電の担当者を集めた「原発ゼロの会」のヒアリング。同会事務局長の阿部知子衆院議員(立民)は、こう訴えた。

「原発ゼロの会」の議員ら=4月、東京都千代田区で

東京電力福島第一原発でたまり続ける処理済み汚染水の海洋放出について、資源エネルギー庁や原子力規制委の担当者らに話を聞く「原発ゼロの会」の議員ら=4月、東京都千代田区で(阿部知子事務所提供)

 阿部氏が問題としたのは汚染水の処理方法をめぐる政府小委員会の意見公募(今月15日まで)で、提示された資料の中に東電側が新たに調査対象に加えた放射性炭素が含まれておらず、それを記載しない理由も説明していないことだ。

処理済みでも問題点を抱える汚染水

 そもそも溶融炉心の冷却などに使われた高濃度汚染水には、事故前の通常運転では発生しなかった多種多様な放射性物質が含まれる。汚染水は多核種除去設備(ALPS)で処理され、主な62核種の放射性物質が取り除かれるが、処理後もトリチウム以外の多くの放射性物質を含む。

 2018年夏には、敷地内のタンクで保管中の処理済み汚染水のうち8割が、法令上の排出の濃度限度(告示濃度)を超えており、再処理が必要だと発覚した。現在も約7割のタンクが再処理が必要な状態だ。

 さらに同年、処理済み汚染水の放射線量に問題点があることを東電が発見し規制委に報告。その後の東電の調査で今まで注目されていなかった放射性炭素とテクネチウムが原因と分かった。中でも放射性炭素はALPSで除去できる62種には入っていないため東電は全タンクの調査を開始。先月25日時点で1312基のうち4分の1相当を調べ終えた。

国が放射性物質の説明を避ける理由

 では、放射性炭素を含むトリチウム以外の放射性物質はどうなるのか。そもそも、トリチウムだけが除去できないかのように言われてきたが、実はそうではない。資源エネルギー庁によると、放射性物質は約1000核種あり、主な62核種をALPSで除去した後、まずはトリチウム以外が告示濃度以下になるように除去。その上で放出時には、トリチウムも含めた濃度が告示濃度以下になるように希釈して放出する。

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