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「半沢直樹」プロからは「?」だらけだけど実はプロもくぎ付け

(2020年8月9日東京新聞に掲載)

 TBS系の日曜劇場「半沢直樹」は、第2シリーズが始まっても絶好調だ。銀行・証券会社を舞台にしたお仕事ドラマ。逆転に次ぐ逆転のストーリーと俳優陣の熱い演技に加え、「倍返しだっ」などのせりふが視聴者の心をつかんでいる。ただ、金融のプロに聞くと、現実にはあり得ない、とんでもない描写もあるようで…。プロたちはフィクションを楽しんでいるのか、それともシラケているのか。 (古川雅和)

ドラマは現在3作目

 半沢直樹シリーズは、元銀行員の池井戸潤氏が別冊文藝春秋の2003年11月号から連載を始め、4作品が文庫化されている。ドラマは13年7月にスタート。銀行で悪徳上司や役員に立ち向かう半沢の姿が描かれ、最終回は平均視聴率42.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の大ヒットを記録した。半沢のせりふ「倍返し」は同年のユーキャン新語・流行語大賞に選ばれた。

 現在、ドラマはシリーズ3作目「ロスジェネの逆襲」の内容を放送中。銀行から子会社の証券会社に出向させられた半沢が、企業買収を巡り銀行の同期や証券会社の部下らとともに親会社と激しく戦っている。

えっ!?ガラス張りの部屋?

 親会社対子会社、銀行対証券。視聴者はクライマックスに向けて画面にくぎ付けだ。とはいえ、金融業界で働く人たちの目が点になってしまう描写があちこちに顔を出す。

 例えば、第1話。超大型企業買収のアドバイザーを受けるか否かを、担当の営業企画部14人がガラス張りの部屋に集まり議論した場面がそれ。

 「担当するのは、隣の席の人が何をしているのかも分からない部署。大型案件はごく数人で、秘密裏に進めるのが常識なのに」と、40代の証券関係者は首をかしげる。後に内部の人間が親会社に情報を漏らし、買収合戦に発展した。情報に対する意識がここまで甘くては問題が起きても仕方がない。

ええっ!?居酒屋で買収の話だって?

 敵対する銀行側企業による敵対的買収の場面も「半沢ともあろう人が、そんなことすら知らなかったのか」(30代の証券関係者)と突っ込みが出る。

 ドラマでは、株式の買い占めが市場の通常取引時間外で行われたことに半沢が目を見開いた。それは、びっくりする話ではない。取引時間中に大量の買い注文が出れば株価が高騰し買収に余計な資金が必要になる、さらに便乗してひともうけを狙った投資家も出てきかねない。すると買収に支障が出る。

 半沢側が買収されないように、記者会見で秘策を突然、公表した場面も、その後の株価はじわじわとしか上昇しない。発表内容が投資家からあまり期待されていないのかとも見える。

 なによりも、半沢がたびたび同期や部下と居酒屋で酒を飲みながら買収の話をしている。もちろん、論外の行為だ。

「半沢直樹」の舞台になっている東京・日本橋兜町。半沢にあこがれる証券マンは多い=東京都中央区日本橋兜町で

「半沢直樹」の舞台になっている東京・日本橋兜町。半沢にあこがれる証券マンは多い=東京都中央区日本橋兜町で

でも見なきゃ取り残される

 とはいえ、勢いがあるドラマ。金融業界内でも「見なければ話題から取り残される」(メガバンクグループの証券マン)という。

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