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消費税増税1年、コロナ禍で暮らし圧迫…期間限定で減税は?

(2020年10月2日東京新聞に掲載)

 消費税が10%に引き上げられてから、1日で1年が過ぎた。麻生太郎財務相は先月「経済全体としては良かった」と述べたが、税率を上げた昨秋には景気は既に後退局面に入っており、その後のコロナ禍でさらに悪化した。庶民の暮らしはもうヘトヘトなのだが、菅義偉首相は将来の増税すら否定していない。海外では期間限定で税率を下げている国があり、専門家からも減税を求める声が出ている。 (榊原崇仁、古川雅和)

店主からは「コロナ禍でダブルパンチ」

 庶民の財布に優しい店が並ぶ十条銀座商店街(東京都北区)。「こちら特報部」が1日に訪れると、1年前の増税に対する不満が次々に耳に入ってきた。

JR十条駅周辺の商店街。新型コロナウイルスの感染予防を呼び掛ける横断幕が掲げられていた=1日、東京都北区で

JR十条駅周辺の商店街。新型コロナウイルスの感染予防を呼び掛ける横断幕が掲げられていた=1日、東京都北区で

 呉服店を営む原田大介さん(78)は「去年の10月、11月がダメで、回復しないままコロナ禍になっちゃって。ダブルパンチですよ」と語る。「マスクを売って持ちこたえてきたけど、9月からはさっぱり。この先、どうなっちゃうのか」

 先月退陣した安倍政権は、消費税の増税を2度行った。2014年4月に5%から8%へ上げたのに続き、昨年10月には10%に。映画監督の山田洋次さんら著名人の呼びかけで昨秋まで募った反対署名は113万7000筆に上ったが、引き上げは止まらなかった。

 持ち帰りの食品は軽減税率で8%の据え置きになったが、もち菓子店の河田早百合さん(71)は「財布のひもがきつくなると、うちみたいな嗜好品は真っ先に買ってもらえなくなる」と話す。「コロナの後は商店街も閑古鳥。今日なんてお月見の日なのに、なかなか買いに来てもらえない」

さらなる増税を警戒する声も

 「嘆き節」は買い物客からも。「10%になってから生活が変わりましたよね」と語ったのは総菜店に目を向けていた主婦(70)。「やっぱり節約を考えちゃいます。おかずの品数を5品から4品、3品に減らしたり」。年金暮らしの女性(80)は「家電の買い替えなんかはためらっちゃうよね。税金だけで1000円単位で増えるから」。

 こんな生活を知らないのか、麻生財務相は9月下旬の記者会見で、消費税増税は「経済全体としては良かった」と言い切った。「景気が急激に回復するのにプラスの影響を与えるということはありません」と断りつつ、「介護、福祉、医療などの問題に対応するために全世代型で負担してもらう考え方に沿って進めてきた。待機児童の問題も学費の補助も対応できたのは消費税の値上げがあったから。若い人にとっては非常にプラス」と強調した。

閣議前、菅首相(左)と話す麻生財務相=9月29日午前10時、首相官邸で

閣議前、菅首相(左)と話す麻生財務相=9月29日午前10時、首相官邸で

 茶販売店の男性(50)はさらなる増税を警戒。「コロナ禍で政府は持続化給付金とか出したでしょ。税金使って。配った分は取り返そうと考えるはず。手段は消費税の増税でしょ」と見立てる。ランチ帰りの主婦(75)も「国会議員は自分の給料を削るなんて発想がないだろうから、しわ寄せは庶民に来る」とこぼす。

 それでも、コロナ禍に苦しむ人々は減税に期待せずにいられない。靴店を営む男性(69)は「せめて8%に戻してもらいたいよね。お客さんの負担が減れば、ちょっとは期待ができるかも。一気にゼロとは言わないからさ」と話す。昨年の反対署名集めで事務局を務めた全国保険医団体連合会の担当者も「家計が厳しくなると、医療機関で診療を受けるのをためらう『受診控え』が起こり得る。命に関わる問題だけに、一刻も早く減税を」と訴える。

日本経済は極めて厳しい状況

 消費税増税から1年後の日本経済は、新型コロナウイルスの感染拡大も加わり、極めて厳しい状況に陥っている。

 国全体で見れば、増税直後の昨年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整値)が年率換算で7.1%(改定値)も減少。国税庁が9月に発表した民間給与実態統計調査でも、企業で働く人が昨年1年間に得た給与の平均額は前年比マイナス1.0%の436万4000円。7年ぶりに減少に転じ、家計の面でも昨年が分岐点だったことをうかがわせる。

消費税率が引き上げられた昨年10月1日に街頭で抗議する人たち=東京都新宿区で

消費税率が引き上げられた昨年10月1日に街頭で抗議する人たち=東京都新宿区で

 今年7月の内閣府の有識者会議でも、景気の山は2018年10月で、翌11月から景気後退が始まっていたことが示された。つまり、税率を10%に引き上げたのは、景気の勢いが失われていく真っただ中。「消費税を上げたタイミングは、非常に悪かった」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)ということだ。

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