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原発事故関連も廃棄したという 福島県のずさんな文書管理に疑問

(2020年11月8日 東京新聞に掲載)

 東京電力福島第一原発事故から間もなく10年を迎える。重要なのは被災状況や行政の対応を丁寧に振り返り、浮かび上がった課題を教訓にすること。ただ、記者の体験からは、事実関係の把握で重要な手掛かりになる文書の管理について福島県は雑な印象がぬぐえない。過去から学び、教訓をどう伝えるか、改めて考えるべきではないか。(榊原崇仁)

「廃棄せず保管」のお達し出ていたはずなのに

 福島県内部では早い時期から、事故当時の文書管理に関する「お達し」が出ていた。2012年3月に災害対策本部事務局長名で「確実な保管をお願いする」と各部局に要請があり、14年10月には文書法務課長名で「保管期間満了後も即時に廃棄せず、当分の間は保管を」と周知された。

 しかし、適切な文書管理が徹底されているかというと疑問に思わざるを得ない。記者は以前、発災直後に県が避難者向けに行ったスクリーニング(体表面汚染測定)を検証するため、実動を担った各保健福祉事務所に関連文書を情報開示請求した。

 首をかしげたくなったのは、県南保健福祉事務所(白河市)が出した不開示決定だった。「開示できる文書はない」との判断で、通知書に「保存期限を過ぎて廃棄しているため」と理由が記されていた。汚染の程度を調べるスクリーニングは、県のマニュアルにある代表的な避難者対応だった。県文書法務課の浅倉孝総括主幹は「関連文書は長期保管の対象になる」と語る。

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記者の情報開示請求に対し、福島県南保健福祉事務所が不開示と決定した通知書

 ところが廃棄の理由を同事務所に尋ねると、「手書きの集計表やその清書のような一覧表が数枚残っていた」と話したが、正規の記録票のほか、県庁からの指示や、具体的な作業実績を記した文書は見つからなかった。同事務所の戸井田光洋・総務企画課長は「一連の文書が存在していたのか、あったけど廃棄したのか分からない。かなり前の話なので…」と釈明した。

 他の複数の保健福祉事務所も、情報開示請求に「保有していない」との理由で不開示決定を出した。

試算結果、メール、議事録音なども消去

 ずさんな文書管理で思い出されるのが、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)に関する問題だ。発災直後の11年3月12日深夜から16日朝にかけ、県はSPEEDIの試算結果を国側からメールで受け取りながら避難に役立てることなく、大半を消去してしまった。受信容量を確保しようとデータを整理する中で、重要なメールも削除した。

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