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ギョギョ!?水温上昇で東京湾のギンイソイワシがオスだらけに

(2020年9月15日東京新聞に掲載)

 東京湾のギンイソイワシが、オスだらけになっていることが東京海洋大の研究で分かった。2016年には調査で捕まえたギンイソイワシの8割近くがオスだった。メスになるはずの稚魚が性転換しているといい、どうやら海水温の上昇が関係しているらしい。地球温暖化による海水温の上昇は海の中を様変わりさせている。いずれ人々の生活にも影響が出かねない。(中沢佳子)

オスが多すぎ…8割も

 「水温が性別の決定に影響しやすい魚種にとって、地球温暖化は存続に関わる問題だ」。ギンイソイワシを調べた山本洋嗣准教授(繁殖生態学)は危ぶむ。

 ギンイソイワシは、関東より南から九州までの沿岸近くで生息。体長15センチほど。夏に堤防近くで釣れやすく、刺し身やフライ、あぶりにすると意外においしい。ただ、庶民の味のマイワシやカタクチイワシなどとは違い、一般にはあまり流通していない。

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海水温の上昇でオス化することが裏付けられた、ギンイソイワシ=東京海洋大・山本洋嗣准教授提供

 山本さんは2014~16年にかけて、東京湾で稚魚を捕まえて調査した。すると、遺伝的にメスになるはずの稚魚がオスになった割合は、14年だと7.3%だったのに対し、平均海水温が14年より1.9度高い15年は17.9%、同2.5度高い16年は52.0%にはね上がった。その結果、「オスが8割近く」という偏りが生じた。

ヒラメもイカもタコも食べられなくなる!?

 水温で性別が偏ると言われるとぎょっとする。だが、一部の生物では実は以前から知られていた現象だ。

 山本さんによると、高温でヒラメを飼育するとオスに偏る。アオウミガメは、高温のグレートバリアリーフ北部でメスが9割に。ワニガメやアカミミガメなども、水温による偏りがみられる。ただ、自然界だと他の要因も絡むため、水温だけが直接の原因だとは言い切れなかったという。

 ギンイソイワシは遊泳力が弱く、水温の低い海を求めて回遊することもできない。さらにオスが増えるとどうなるのか。

 「種としての繁殖能力が落ち、絶滅しかねない。ひいては、海の生態系にも悪影響を及ぼす」と山本さん。スズキ、ヒラメ、イカ、タコなどの餌になる魚だけに、激減すれば食卓の様子も変わりかねない。「食物連鎖で下位のピースが一つ欠けても、回り回って連鎖の上位にいる人間に影響するものだ」

瀬戸内海でも異変

 異変は東京湾以外でも起きている。瀬戸内海がその一つだ。

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