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感染防止より経済で大丈夫?トランプ大統領のコロナ感染で学ぶこととは

(2020年10月6日東京新聞に掲載) 

 米国のトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染した。5日(日本時間6日)に退院したものの、一時は重症説も流れた。国のトップが感染したのは米国だけではないが、危機管理上、最高の感染防止策がとられているはずの人の感染は、あらためて新型コロナの感染力の高さを示したと言えるだろう。Go To キャンペーンの東京発着追加など、「感染防止より経済」という空気が色濃い今の日本は大丈夫か。(石井紀代美、中山岳)

車で外出、アピール

 「今夜、新型コロナウイルスの検査結果で、メラニアと私が陽性だった。直ちに隔離を始め、回復措置を取る」。米国のトランプ大統領は2日、ツイッターでこうつぶやき、夫婦で感染したことを公表した。


 トランプ氏は発熱や倦怠感などの症状が出て、酸素レベルが低下。米軍医療センターに入院した。4日には車で外出し、親指を立てる得意のポーズで支持者に存在をアピールした。


 ホワイトハウス内ではクラスターも発生。9月26日に庭で開かれた最高裁判事指名の発表イベントで、前列に座り、マスクをせずにハグするなどした上院議員や元大統領顧問ら数人に陽性反応が出た。

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退院し、ホワイトハウスに戻りポーズをとるトランプ米大統領=5日、ワシントンで(AP)
 

マスクなしが「忠誠心」

 トランプ氏はマスク嫌いで、これまで公務や選挙活動で外出する時もマスクをせず、側近もしない。明治大の海野素央教授(異文化間コミュニケーション論)は「米国は世界一感染者・死者数が多く、トランプ氏にとって、マスク着用は、自分のコロナ対策がうまくいっていないことを意味する。そのため、側近の間で、マスクなしがトランプ氏への忠誠心を示す行為になっている」と指摘する。

 熱烈な支持者もまた、マスクをしない。トランプ氏は大規模集会を開き、支持者の熱狂を高める戦略を取ってきた。研究の一環で集会に出たことがある海野氏は「参加者同士の距離が空くと熱狂は保てないので、会場はとても密だった。支持者が叫び、つばが飛び交っていた」と振り返る。

マスク嫌いには理由が


 上智大の前嶋和弘教授(米国現代政治)は「ひと言で言えば、自分の支持者しか見ていないから」とマスク嫌いの理由を読み解く。


 政敵の民主党は都市部に支持者が多いが、トランプ支持者は田舎や都市の周囲に広がる郊外にいる。日常生活で密になる場面が少なく、感染状況がひどくない地域だ。そのため、「都市部の都合で自分たちの経済をおかしくするな」と感じる支持者が少なくない。「マスクより、普段通りの経済活動を求める意識が強く、トランプ氏もこの層に合わせている」

各国のリーダーも感染

 それにしても、核のボタンを握る米大統領をはじめ1国のトップともなれば、その健康問題は国家安全保障上の重大事。本人がどうだろうと周囲が感染防止対策を徹底して当然なはずだ。なのに、3月末にはジョンソン英首相が、7月上旬にコロナは「ちょっとした風邪」と公言していたブラジルのボルソナロ大統領が、同月下旬には「コロナは心の病。ウオッカやサウナが効く」と語ったベラルーシのルカシェンコ大統領が、相次ぎ感染した。

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4月、新型コロナウイルスに感染し、メッセージ動画で話すジョンソン英首相=同氏のツイッターから



 
 元外交官で、平和外交研究所の美根慶樹代表は「国の指導者として安全保障やテロ対策などの危機管理はしっかりやるが、コロナ対策は1個人としての生活スタイルという面があり、『個人の自由』という意識も働きやすい」とみる。「ジョンソン首相を除き感染したトップに共通するのは独裁色が強いこと。周囲が忖度してしまい、国の中枢が賢明な防止対策ができなくなっているのではないか」


官邸の対策は?

日本の場合、首相の新型コロナ感染対策は万全なのか。


 感染が拡大した3月以降、対策を指揮した安倍晋三前首相は「アベノマスク」とやゆされた布マスクを4~7月まで連日のように着けた。会合を取材する記者もマスク着用とし、記者会見では記者席の間隔を広げて実施した。

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感染防止より経済で大丈夫?トランプ大統領のコロナ感染で学ぶこととは

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