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注文してもいない謎の種が、中国から世界各地に郵便で届く話

(2020年8月4日東京新聞に掲載)

 注文してもいないのに、植物の種のような物が入った郵便物が突然、自宅に届く―。そんな「被害」が各地で相次いでいる。送付元は中国のようだ。農林水産省植物防疫所は「栽培したり捨てたりしないで」と注意を呼びかけている。商品を送りつけ、代金をだまし取る、という狙いではないようだが、なんとも気味が悪い。いったい誰が、何のためにこんなことをしているのか。(大野孝志)

身に覚えがない

 小さな透明の袋の中に、直径1~2ミリほどの茶色っぽい丸い種。100粒ほどあるだろうか。一部は2つに割れている。7月28日に、こんな種がグレーっぽいビニール袋に包まれ、神奈川県三浦市の60代男性の家に届いた。宛名も住所も正しく書かれ、「中国郵政」と印字されていた。

 差出人欄には中国の地名のみ。品名は中国語の簡体字で「首飾り」、英語で「jewelry(宝飾品)」と印字してあった。植物の輸入に必要な植物防疫官の検査を受けたことを示すスタンプ(植物検査合格証印)はなかった。

 男性から相談を受け、実物を手にした市環境課の堀越修一課長は「謎の種」をこう説明する。堀越氏は「男性は『身に覚えがない』そうだ。新手の詐欺かもしれないし、種を植えると生態系を壊す恐れがある。検疫を受けていなければ、何か菌などが付着している心配もある」と警戒する。

なぞの種

送り付けられてきた謎の種と包装。右下は大きさを比較するための10円玉=神奈川県三浦市環境課提供

防疫所に聞いてみた

 こんな謎の種が各地に届き、農水省植物防疫所はホームページで、最寄りの植物防疫所に相談するよう呼び掛けている。男性に届いた種は、市、県を通じて農水省横浜植物防疫所に送られた。

 その横浜植物防疫所に問い合わせると、担当者は「相談件数は公表していない」「何の種かは分からない」と口が重い。ただ、担当者は、男性のとは別の種を実際に見ているようだ。「私が見た物は、品名がring(指輪)で中国郵政のロゴがあった。検疫を通ったスタンプはなかった」と明かした。

 いったい、何が狙いなのか。消費者庁消費者政策課の恵崎孝之政策企画専門官は「送り付けの報道は承知している。目的は測りかねる。代金をだまし取る狙いのマスクや消毒液の送り付けとは違うようだ」と語る。

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