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10万円給付って意味なかったの? 麻生氏の「上から目線」発言を考える

(2020年10月27日東京新聞に掲載)

 麻生太郎財務相は24日、新型コロナ禍対策の1人10万円の特別定額給付金を巡り、「その分だけ貯金が増えた」と効果を疑問視する発言をした。景気浮揚につながらなかったと言いたいようだが、社会全体が先行き不透明というのに、多くの人が10万円をぱーっと使うだろうか。コロナ前には「老後には2000万円必要」と自助を求めていた。とことん上から目線の麻生氏の発言を考える。(大野孝志)

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一律給付には当初から否定的

 麻生氏は福岡市で開いた自身の政治資金パーティーで、こう述べた。「(個人の)現金がなくなって大変だということで実施した。当然、貯金は減ると思ったらとんでもない。その分だけ貯金は増えた」「お金に困っている方の数は少ない。ゼロではないですよ。困っておられる方もいらっしゃる。だが、現実問題として、預金、貯金は増えた」

 コロナで生活苦になった人は少ないので、給付金は貯金に回り、景気浮揚効果は限定的だったと言いたいようだ。

 麻生氏は当初から、現金の一律給付に否定的だった。リーマン・ショック後の2009年、首相在任当時に1人1万2000円を一律給付したのを「失敗」として、コロナ対策でも給付対象を絞るべきだとしていた。減収世帯に限って30万円を支給する方向だったが、与野党の突き上げで一律10万円となり、補正予算案を組み替えた。

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6月、特別定額給付金の申請受け付けや審査業務をする愛知県弥富市の職員ら=同市で=弥富市で

困窮者支援団体「継続支援が必要」

 では、10万円給付に意味はなかったのか。生活困窮者支援に取り組む一般社団法人「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は「滞納していた家賃を給付金で支払い、住まいを失わずに済んだ人もいる。生活を支える一定の効果はあった」と語る。「もちろん、1回だけでは足りない。2度、3度と継続した支援が必要だし、路上生活で受け取れない人もいた」と稲葉氏。「給付金が消費に回らないのは、お金に困っている人がそれだけ多い証拠です」

 実際に貯金は増えているのか。全国銀行協会(全銀協)のまとめで、全国の銀行の9月末の実質預金は825兆円。給付が始まった5月以降、前年同月比の増加率は毎月7%を超えている。全銀協の担当者は「都市銀行に聞くと、法人は手元資金の確保、個人は消費機会の減少と将来への不安、給付金の振り込みで残高が増えたようだ。いずれもコロナの影響」という。一方、国の毎月勤労統計では、8月の現金給与総額は27万円で前年比1.3%減。給料が減り、貯金が増えたことになる。

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