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経団連の新成長戦略、新型原発で経済成長というけれど、現実離れしてない?

(2020年11月11日、東京新聞掲載)

 経団連が9日に発表した新成長戦略に、新型原子炉の開発推進が盛り込まれた。2030年を見据え「安全性に優れ、経済性が見込まれる」新型炉が欠かせないのだという。ただ、主要先進国では現存する原発を使い続けるのが既定路線。日本でも11年3月の東京電力福島第一原発事故などを受けて、新増設はストップしている。あまりに現状と懸け離れていないか。(大平樹)

原発の建て替え、増設、新型炉まで

 「2030年までには新型炉の建設に着手すべく、国家プロジェクトとして取り組みを進める必要がある」。経団連の新成長戦略の一節だ。原発の再稼働だけでなく、新規増設や凍結中の増設計画の再開、老朽原発の新設原発への置き換えに加え、新型炉建設まで盛り込んだ。経団連「新経済社会創造タスクフォース」の担当者は「政府が掲げる脱炭素社会を達成するには二酸化炭素を排出しない原子力が必要」と説明する。

 菅義偉首相は10月の所信表明演説で、50年までに温室効果ガスの排出を実質的にゼロにする意向を表明。石炭火力発電の代わりに原発を推進する方針を示したものの、新増設までは踏み込まなかった。そうした中で新成長戦略は発表された。

経団連

経団連などが入るビル=東京・大手町で

 国内の原発の新増設は、一部の安全対策工事を除いて実質的に止まっている。福島事故当時、54基あった商業用原発のうち24基は廃炉が決まり、再稼働が認められたのも九基にとどまる。今月10日現在、動いているのは九州電力玄海原発4号機(佐賀県玄海町)だけだ。

国策の原発輸出も中止相次ぐ

 海外で原発新設を進めているのは中国、ロシアのほかは、ほとんどが途上国。一方で主要先進国は原発依存から脱却しつつある。国際エネルギー機関(IEA)によると、18年に280ギガワットだった日本を含めた先進国の原発の発電容量は、このままいけば40年には約3分の1の90ギガワット強に減る見通しだ。

 経団連の中西宏明会長が会長を務める日立は9月、英国で計画していた原発建設計画からの撤退を発表。安全対策にかかる費用がふくらんだのが一因だった。日本が国策として取り組んだ原発輸出はベトナムやトルコでも相次いで中止になり、完全についえた。経団連は一貫して原発推進の立場とはいえ、新型炉まで持ち出した新成長戦略の唐突感はぬぐえない。

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