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人気ラッパーのカニエ・ウェストも…アメリカ大統領選「独立系候補」が示す米国政治のいま

(2020年9月6日東京新聞掲載)

 世界の政治・経済を大きく左右する米大統領選の投票日(11月3日)まで、2カ月を切った。新型コロナウイルスと人種差別問題によって分断された米国で、共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領が批判合戦を繰り広げる。その陰で他に準備を進める動きがあり、過去には二大政党を慌てさせた異色の人物もいた。そうした「独立系候補」らが選挙に挑む意義とは―。(古川雅和)

ゾンビをエネルギーに活用!?

 「大統領になったら全国民にポニーを1頭ずつ、差し上げます」「ゾンビの力をエネルギーに活用します」

 頭にブーツをかぶり、ぼさぼさのひげ姿で驚きの公約をユーチューブで訴えるのは、マサチューセッツ州ボストン生まれのパフォーマーでアーティスト、バーミン・スプリーム氏(59)だ。訳すと「害虫は最高」となる名前は、米メディアによると本名。大統領選では、自由至上主義を掲げる第3の政党、リバタリアン党の候補者指名を目指していたが、難しそうだという。

大統領

米大統領選に挑む異色の人物、バーミン・スプリーム氏=ユーチューブから

国民全員にポニー1頭「ポニーノミクス」

 ゾンビはともかく、ポニーは大真面目な経済政策の柱の一つ。全国民がポニーを所有すると、餌を生産したり、つないでおいたりする場所の整備が進み、雇用の増加につながるとする。ポニーの所有権をやりとりする新たな市場が生まれ、経済の活性化につながるそうだ。同氏はこの経済政策を「ポニーノミクス」と名付ける。既に7万ドル(約735万円)を超す資金を集め、有権者に全く無視されているというわけではない。

 過去に目を向けると、16年の大統領選で米国民がびっくりする問題が起きた。ディーズ・ナッツ(Deez Nuts)を名乗る候補が、米連邦選挙委員会(FEC)のデータベースに載り突如、世論調査の対象として登場した。ノースカロライナ州の世論調査でトランプ氏(40%)、ヒラリー・クリントン氏(38%)に大きな差はつけられたものの、9%の支持を得て三位に入った。

「二大政党にむかついていた」

 スラング交じりのディーズ・ナッツという名前を意訳すると「くそ野郎」といったところか。こんな名前を登録したのは、アイオワ州の田舎町に住むブレイディ・オルソン君という15歳の高校生だった。

 実際に選挙で戦うには35歳以上、米国で生まれた市民など数々の条件がある一方、FECの候補者登録はネットで必要事項を記入すれば可能。彼から、「二大政党にむかついていた」と打ち明けられた米メディアは「共和、民主両党に対する批判の表れだ」と取り上げた。

 今回の選挙でもう1人、注目されているのは、米国の独立記念日の7月4日に立候補を表明した人気ラッパーのカニエ・ウェスト氏(43)。米音楽界最高の栄誉とされるグラミー賞を何度も受賞し、トランプ氏を支持していたはずだった。突然の出馬表明に米メディアでは、トランプ氏とけんか別れしたとか、バイデン氏に流れる票を減らしてトランプ氏を援護するためではといった情報が入り乱れている。

2日、米アイオワ州デモインでの集会で、トランプ大統領を痛烈に批判するバイデン元副大統領=岩田仲弘撮影

米アイオワ州デモインでの集会で、トランプ大統領を痛烈に批判するバイデン元副大統領=岩田仲弘撮影

トランプ氏も異色候補者の扱い

 現れては消える異色の候補者。トランプ氏も前回選挙まではそうした人物の1人という扱いだった。目立っていたのは、テレビのリアリティー番組の司会や、プロレスのリングに上がって暴れる姿ばかり。それがホワイトハウスの主として君臨し、核のボタンを持つまでになっている。それを考えると、ちょっと変わっているからといって、あながち無視できない存在なのかもしれない。

 独立系候補が二大政党を慌てさせたこともある。1992年の選挙に挑んだテキサス州の大富豪、故ロス・ペロー氏。大量のテレビコマーシャルを流し、92会計年度(91年10月~92年9月)に当時過去最悪となる約2900億ドル(約30兆円)まで膨らんだ財政赤字の問題を徹底的に追及した。

 問題を解決しなければ、住宅ローンや学生ローンの金利上昇、国家財政の破綻を引き起こすと何度も指摘。ペロー氏の訴えは国民に響いた。選挙では勝者のビル・クリントン氏(得票率43%)に離されたとはいえ、独立系候補としては異例の19%を得た。

 2016年には、2回連続の挑戦となったリバタリアン党の元ニューメキシコ州知事、ゲーリー・ジョンソン氏が3・28%を獲得。オバマ前大統領が再選した12年の0・99%から急伸した。

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